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彼氏を振ったら訴えられた!?賠償金を支払う必要のあるケースとは?

同棲などをしながら交際している男女で、一方が交際終了を告げた際にもう一方が慰謝料を支払え!といってトラブルになったという相談は多いです。

今回は、どういった場合に賠償義務が発生するのかを踏まえつつ、別れる際に気をつけるべきことについて解説していきます。


事例について

先生!長年同棲していた彼氏に別れようって言ったら慰謝料を支払え!と言われて困っています。結婚しているわけでもないので自由恋愛だと思うんですがお金なんて支払う必要ないですよね?

慰謝料が発生するケースの概要

男女が交際して別れた場合に慰謝料が発生するケースは大きく分けて以下の3パターンが考えられます。

上から順に交際の強度が高くなっています。

①婚姻関係の不当破棄(民法770条列挙事由、不貞、DV等)
②内縁関係の不当破棄
③婚約の不当破棄

※補足説明

①について、離婚によって慰謝料が生じるのは夫婦の一方の原因で婚姻関係を破綻させた場合なので「不当破棄」という表現をしています。

②内縁関係の不当破棄について

結婚していないので①は関係ないですね。私は2年くらい同棲していたんですが②の内縁に当たりますか?

内縁は分かりやすく言うと事実婚状態です。

婚姻の意思があり、同居していて家計が一緒で社会的には夫婦として生活しているようなケースです。

最近では夫婦別姓問題やLGBTの問題により事実婚状態をあえて選択する方もいます。

ただし、若いカップルが同棲しているだけだと普通は内縁には当たりません。

②内縁の不当破棄の慰謝料発生の考え方は①婚姻関係の不当破棄とほぼ同じで、関係が破綻する原因を作った方が賠償義務を負うと考えます。

①婚姻関係の不当破棄との違いは結婚していることの証明は戸籍を出すだけですが、内縁関係の立証はそれなりに大変ということです。

そういう意味で結婚というのは法的に手厚く保護されている制度とも考えられます。

②内縁の不当破棄に当たるとされた場合の慰謝料の相場

ちなみに仮に②内縁の不当破棄に当たるとされた場合の慰謝料の相場はどの程度ですか?

内縁は認められるハードルは高いですが、認められさえすれば婚姻に準じて取り扱われますので①婚姻の不当破棄に準じた金額になります。

具体的な類型ごとの慰謝料の相場については本稿のメインテーマではないので割愛させていただきます。

③婚約の不当破棄について

それでは私のケースは③婚約の不当破棄に該当しますか?
彼氏からは「結婚したい」などと言われていて、私も「そうだね」などと話していました。
LINEにもやり取りが残っているかも知れません。

③婚約の不当破棄による慰謝料請求で一番問題になるのは婚約の成立です。

③婚約の成立について

結納などが行われなくなった現代社会においてはかなり認められにくいのが実情です。

婚約成立の考慮事由としては、当事者間での認識、両親への挨拶、婚約指輪のプレゼントの有無、結婚を前提に新居に引っ越した・仕事を辞めた、結婚式の準備をしていたことなどがあります。

両親への挨拶は私の親のみ行なっています。指輪は下見に行きましたが買っていません。おそらく彼氏が一番主張してくるのは結婚したいと言ってきたことに肯定してしまった点だと思います。

少し古い裁判例ですが、婚約の成立について結婚の申し込みに対する承諾があってもこれを否定したもの(東京高裁昭和27年(ネ)第2071号)が参考になります。

これは男性からの結婚の申し出に女性が承諾したという事実がありながらも婚約の成立を否定しています。

「婚約」という文言だけを見ると結婚の約束ですから当事者間で約束が成立してさえいればよさそうですが、裁判所はそうは考えていないということです。

とはいえ、当事者間の合意は1つの有力な考慮要素ではありますが、いわゆる「ベッドの上の約束」と言われるような肉体関係のための発言などはその証拠価値が大きく下がりますので注意が必要です。

仮に婚約が認められたら慰謝料を払わなければいけないのでしょうか?

婚約が認められた場合は正当な理由のない婚約破棄については慰謝料等の損害賠償請求が可能です。
こちらの方から正当な理由(民法770条列挙事由、不貞、DV等)を主張しなければいけない点が上記の①②と異なります。

③婚約の不当破棄における損害額について

損害額はどうなりますか?

裁判例を見てみると、慰謝料については①婚姻や②内縁ほど高くなりません。

上記の表で交際の強度について言及しましたが、あくまで結婚の約束ということで被侵害法益が比較的弱いという判断があるように思います。

注意すべきなのは婚約破棄でわざわざ訴訟になっているのは例えば結婚式のキャンセル代が500万円かかっているとか新居を購入してしまったなど婚約による実害が発生しているケースです。

まとめ

・同棲するにあたって、夫婦同様の関係があれば婚姻していなくても不貞やDVなどにより結婚している場合に準じた慰謝料の支払いが必要になる可能性があります。

・結婚の約束は気軽にしない方が良くて、実際に結婚に向けてお金が動き始めると本格的な賠償請求を受ける可能性が高まります。

以上


男女問題について、賠償金を請求されてお困りの方は当ホームページのLINE又はお問い合わせフォーム等からお問い合わせください。

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