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【交通事故】車線変更中の事故と言われても諦めないで!

今回のテーマは交通事故の過失割合の中でも『車線変更中の事故』です。

保険会社の担当者はすぐに車線変更中の事故だと言って過失割合7:3を提示してきますが場合によっては10:0になるケースもあります。

違いはどこにあるのか、そして自分で運転する時にどこに気をつけるべきかについて解説していきます。


事案の概要

先生!車に乗っていたらぶつけられてしまいました。片側3車線の中央車線で信号待ちをしていたのですが、交差点の先から2車線になっている特殊な道路で右車線にいた車が交差点まで並走してきてから私の車にぶつけました。

それは大変でしたね。相手方保険会社はなんと言ってきているのですか?

車線変更中の事故だから過失割合は相手方:当方=7:3だと言ってきています。まず、相手方の主張の根拠について説明してくれませんか?

車線変更中の事故の過失割合

交通事故の過失割合については「別冊判例タイムズ38号」という裁判所の交通事故ばかり扱う専門部が執筆した書籍に掲載されている図表がベースになります。

この本は裁判所が執筆しているので非常に権威があり、裁判実務でも重要視されています。

車線変更中の事故はこの本の153図に掲載されています。基本の過失割合は7:3ですね。

前提事実を欠く場合の考え方

じゃあ相手の保険会社の言うことに従わなければいけないのですか?

必ずしもそうではありません。それぞれの図表においては適用の前提になる事実が記載されています。この前提事実を欠く場合は個別具体的に検討と言うことになります。
例えば、車線変更中の事故の場合、「あらかじめ前方にいた車両が車線変更する場合を想定」しているので並走状態からぶつけられた本件とは前提事実が異なるのではないか?と考えることになります。

仮に前提事実が異なり、この書籍の図(7:3)が使えない場合はどのように判断するのですか?

その場合、他の書籍や裁判例を引用して検討することになります。
交通事故の場合、交渉の相手方は保険会社で社内で決済をとる必要があるのでなるべく権威のある根拠資料に基づいて反論してあげるとスムーズです。
裁判の準備書面のように細かい事実を拾って主張してもなかなか通りません。

ちなみに、権威のある根拠資料とは書籍であれば執筆者が裁判官>超一流学者>その他と言うことになりますし、裁判例だと最高裁>高裁>その他となります。どちらも「その他」の括りだと根拠資料というよりは参考資料になってしまいます。

本件での反論例

なるほど!それでは本件では先生ならどのように反論するのですか?

例えば、大阪地方裁判所判決/平成28年(ワ)第9674号は類似の事例で、ほぼ並走状態であったという状況から進路変更を予見して接触を回避するのは不可能なので過失割合につき進路変更によりぶつけた車:ぶつけられた車=10:0と判示しました。
素朴な感覚として、並走車のウインカーなど見えませんから回避するのは不可能という判断には説得力があると思います。

過失割合1つとってもなかなかに難しいですね。
自分で対応するのは難しそうなのでお任せします。

以上


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