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第八回は自己破産について解説していきます。
私は小さいころに『夜逃げ屋本舗』というドラマにハマり、借金については恐ろしいというイメージを持っていましたが、実際の破産手続きはドラマとは全く異なります。
今回の記事が借金に悩む方の一助になることを願います。
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相談者:私は個人事業主として池袋でタピオカ屋をやってきましたが、新型コロナウイルスの影響で街には人影がありません。
売上が激減して借金の支払いが追いつきません。もうタピオカ屋は辞めて親戚の会社で働こうと思っています。助けてください。
私:借金を少なくするには3つの方法があります。①任意整理、②自己破産、③個人再生です。
①任意整理は債権者(お金を貸した人)に分割払いや利息カットをお願いして何とか返済する方法です。現在一定の売上があるのであれば選択肢に入ります。
メリットは下記の自己破産のデメリットが無いことです。
デメリットは元本カットは難しいため、結局借金総額は大きくは減らないことです。最近では利息カットも渋る業者も増えていますし分割返済期間は最大でも3~5年です。
②自己破産は借金を免責(≒チャラ)にしてもらう裁判所を利用した手続です。
メリットは借金が税金や罰金以外なくなることです。
デメリットは財産をほとんど手放さなければいけなくなること、今後7~10年はブラックリストに掲載されるため新規借り入れが難しくなることなどです。
③個人再生は借金を減縮してもらう裁判所を利用した手続です。
メリットは自宅などの不動産を手放さなくても済むことです。
デメリットは借金がなくなるわけではないことと、返済が必要な以上手続が大変なことです。
相談者:よくCMで「簡単に借金がなくなる」みたいなこと言ってますけどアレはなんなんですか?
私:アレは過払金請求の広告です。たしかに過払金があれば回収したお金で借金を返せますが、今となっては過払金がある人はまずいません。ご依頼頂いた場合は万が一にも過払金が無いかキチンとチェックしていますからあまり気にしないで良いでしょう。
相談者:私の場合どれがいいんでしょう?
私:不動産をお持ちでないのなら自己破産がいいと思います。
相談者:自己破産のデメリットについて詳しく教えてください。
私:①7~10年程度ブラックリストに載るため、新たな借金が難しくなります。
②自宅や自動車はオーバーローンになっていない限り手放すことになります。
③手続完了までは警備員など一定の仕事に就けなくなります。
④官報に掲載されますが都会ではあまり問題にならないでしょう。
⑤保証人がいればその人に請求がなされます。
財産が無いのであればその影響は限定的だと思います。株やFXの借金でも管財人に対して協力的であれば、多くの場合免責は出ます。
世間体などで思いとどまってどうしようもならなくなるよりは自己破産により人生の再スタートを切って、しっかり稼いで社会貢献する方が健全だと思います。
相談者:費用について教えてください。
私: まず、裁判所への実費が印紙・予納郵券で5,700円。保管金の納付で18,543円になります。※裁判所によって違いますのでご自分でやる場合は事前に確認してください。
また、今回は事業者の破産ということで少額管財事件になるかと思いますので、破産管財人(裁判所に雇われた弁護士で財産隠しなどがないか調べる人)へ予納金(≒報酬)を200,000円納める必要があります。
あとは私に対する弁護士報酬がかかります。債権者への郵便代や電車代などの実費も別途ご負担頂きます。
相談者:弁護士報酬ってどうなっているんですか?
私:弁護士報酬は自由に決められるのが原則ですが、破産については債権者との平等などの問題もあるため、弁護士会で定められた金額の範囲でお願いしております。
もし弁護士なしでやる場合(※司法書士へ頼む場合も同様です。)、管財人への予納金が倍程度に跳ね上がル可能性がありますし、以下で述べる管財人の財産調査を全くコントロールできなくなり、必要以上の財産が回収され、破産財団に組み込まれてしまうことになりますので全く財産が無いケースを除いては破産をされるのであれば弁護士に頼むことをお勧めします。
相談者:手続の流れはどうなりますか?
私:まずは事務所で法律相談です。債権者からの督促状や職場や友人からの借用書など全てお持ちください。
それをもとに、債権者へ受任通知を発送します。これで債権者はあなたに直接取り立てができなくなりますからその間に上記の費用を積み立てて頂きます。
受任通知発送後は新たな借り入れや既存の借金の弁済はできませんし、預金通帳の中身など厳しくチェックされるので注意してください。
クレジットカードも全て預からせて頂きます(カード会社へ返却します)ので忘れずお持ちください。
・初回相談で事務所にお持ちいただくもの
①債権者からの書類全て
②クレジットカードと通帳全て
③(顔写真付きの)身分証
④シャチハタ以外の判子
受任することになれば、私の方から債権者へ受任通知を発送します。受任通知を受け取った後は貸金業者はあなたに直接取立てできなくなり、あなたは借金の返済や新たな借入れができなくなります。
そこで、今まで弁済に充てていたお金を破産申立のために積み立ててもらいます。
費用の積み立て完了までは定期的に生活状況の報告をお願いしています。また、必要に応じて預金通帳を預かることがあります。
費用の積み立てが完了したら改めてご来所いただき、申立書を作成して申し立てます。
申立には私が一人で行き、その場で裁判官と面談をします。
そこで破産手続開始決定がされれば、その2~3日後に管財人面談があります。
管財人面談には私とあなたの二人で管財人の事務所に行き、管財人と面談します。
これ以後、郵便物は管財人のもとに転送がかかりますのでご注意ください。
だいたい1か月程度、管財人があなたの財産などを調査して財産隠しや免責不許可事由が無いかを調べます。管財人は必要に応じて訴訟もしますので財産隠しが疑われてしまうと知人、友人、職場などに迷惑がかかりますのでご注意ください。
管財人面談からだいたい1か月後、裁判所で債権者集会と免責審尋が行われます。
この後2週間程度で免責決定が出され、破産手続きが終了します。
相談者:会社や家族に秘密で破産できますか?
私:会社へは退職金の証明書を発行してもらわなければいけませんし、管財人が問い合わせをする可能性がありますからバレることもあります。今回は転職される前に破産手続きをするのがいいかもしれません。
また、同居の家族がいる場合、家計の収支を提出しなければいけないところ、これはご家族の協力なしではできませんし、管財人からの問い合わせがある可能性もありますから、確実に秘密にすることは難しいです。
相談者:破産手続で気をつけることはありますか?
私:書類について、あなたの協力なくして書けないものが多いため連絡がつかなくなると困ります。
また、破産手続中に新たな借金や浪費、財産隠しなどがありますと、免責不許可とされ、破産をしたのに借金は残るという最悪の事態にもなりかねませんので私のお願いに対しては協力的な対応をお願いします。
相談者:費用が積み立てられるか心配です…。
私:そういう意味では早めに方針決定することが重要だと思います。
任意整理にしろ、自己破産にしろ、個人再生にしろ、最初にまとまったお金が溜まるまで積み立てる必要がりますからお金があるうちに動いた方が再出発をスムーズに行えます。
相談者:今まで一日中借金のことを考えていて苦しかったのですが、借金がなくなった生活が具体的にイメージできて良かったです。
頑張って積み立てますので最後までよろしくお願いします。