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【副業】洋服のリメイク販売に古物商許可は必要か?

今回のテーマは古物商の許可についてです。
専門ではないのですが、割と法律相談で聞かれるので調べたものをまとめてみました。
結論としては許可は必要ですが、衣類関連の販売は古物商の許可以外にも色々法規制があって大変なので事前にしっかり調べましょうというところになります。


※古物商の許可申請代行などは取り扱っておりませんのでお近くの行政書士事務所にお問い合わせ下さい。


先生!今流行りの副業に関する相談です。メルカリなどのフリマアプリで古着のジーンズを仕入れ、トートバッグにリメイクして自前の販売サイトで販売しようと思っているのですが古物商の許可が必要ですか?

それでは根拠法令である古物営業法について解説しますね。

古物営業法2条について

条文上は、営業として「古物」を売買する場合に規制の対象になります。
本件では、「古物」に該当するかがポイントです。

まずは古物営業法の該当する条文を見てみましょう。

古物営業法2条柱書
この法律において「古物」とは、①一度使用された物品(「物品」については下記のリストに列挙されるものに限られます)、②使用されない物品で使用のために取引されたもの③これらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
同法2条1項
この法律において「古物営業」とは、次に掲げる営業をいう。
 古物を売買(中略)する営業であって、(中略)以外のもの

※条文が非常に複雑なので、分かりやすくするために大幅に加筆修正していますので正確な法文はリンクからお調べ下さい。

「物品」のリスト

美術品類書画、彫刻、工芸品等
衣類和服類、洋服類、その他の衣料品
時計・宝飾品類時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等
自動車その部分品を含みます。
自動二輪車及び原動機付自転車これらの部分品を含みます。
自転車類その部分品を含みます。
写真機類写真機、光学器等
事務機器類レジスター、タイプライター、計算機、謄写機、ワードプロセッサー、ファクシミリ装置、事務用電子計算機等
機械工具類電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具等
道具類家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体、蓄音機用レコード、磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物等
皮革・ゴム製品類カバン、靴等
書籍
金券類商品券、乗車券、郵便切手及びこれらに類する証票その他の物として古物営業法施行令第1条に定められているもの
※表についてはリンクを引用(愛知県警HP)

本件での特殊事情

私のケースでは仕入れた古着をそのまま売るのではなくてリメイクしていますよね?

古物営業法の趣旨は盗品の流通防止です。個人で古物の売買を自由に行えるようにすると、盗品の換金が容易になるので本人確認義務などを課すことでこれを防止しようとしています。ところが、リメイクの場合、原型を留めないような態様であればこの趣旨が該当しないのではないか?という問題意識が働きます。

これを法律的に整理すると、以下のようになります。

まず、そのまま売るわけではないので、古物営業法2条柱書の①一度使用された物品ではなく、③幾分の手入れをしたものに該当するかが問題になります。

「幾分の手入れ」について、警察庁の通達によれば、「物品の本来の性質、用途に変化を及ぼさない形で修理等を行うことをいう。例えば、絵画については表面を修補すること、刀については研ぎ直すことである。」とされています。

「物品の本来の性質、用途に変化を及ぼさない形で」と制限が入っているのは、上記吹き出しで述べたとおり、本来の性質、用途に変化を及ぼしていればすでに古物営業法の規制の趣旨の範囲外であるため規制を及ぼす必要がないからだと考えられます。

たとえば、(そのような事例があるか分かりませんが)ジーンズを薬品でドロドロに溶かして固めてキャンプ用の燃料にして販売する場合、盗品流通防止という法の趣旨とは関係が弱くなるので規制の範囲外になる可能性が高いということです。
やはりある程度そのままの形で売らないと二束三文にしかならないので盗品の流通には影響しないということでしょう。

本件での結論

私のジーンズのリメイクはトートバッグに改造する点で物品の本来の用途とは異なりますが、性質はそのまま利用していますね。

微妙な解釈の問題であるとは思います。ただし、おっしゃる通り該当する可能性が高いと思いますので弁護士からの助言としてはきちんと許可申請されるべき、ということになります。

おまけ:警察署で相談して適法と言われた場合

実は、警察署に相談に行った際に、警察官からこれくらいのリメイクであれば許可は要らないと言われました。それでも許可申請すべきですか?

結論から言うと、警察官は法律の専門家ではなく、法的見解を提示する権限もないので警察官の発言があっても何の保証にもなりません。

この点は、最高裁の昭和62年7月16日判決という超有名判例があります。
警察官に適法だとアドバイスを受けたが起訴されたという事案で結論は有罪になりました。
理由については上記吹き出しの通りです。


以上になります。本記事に対するお問い合わせはご遠慮ください。

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