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止まっていてもこちらが悪い?駐車場内の事故の過失割合

今回のテーマは『駐車場内の交通事故の過失割合』です。

意外と知られていないのですが、駐車場内は駐車しようとする車が優先です。
したがって、停止している状況で駐車中の車にぶつけられてもこちらの方が悪いということになるケースも想定できます。

裁判例を分析した結果、私自身運転する際には以下の2点に気を付けるようになりました。

①バック駐車をする際には予備動作中からハザードを付ける、②駐車動作中の車を後方で待つ際にぶつけられそうなら後退するかクラクションを鳴らさなければいけない。そのため車間距離を十分に取る必要がある。


相談の概要

先生! 駐車場内で進行中の車の後ろを走行していたところ、前方の車が駐車スペースに駐車するためにいきなりバックしてきてぶつけられました。こちらは停止していたので無過失だと思うのですが相手方保険会社は当方:相手方=8:2の過失割合を提示してきています。

事故状況の詳細

一般にバック駐車をする場合、一回駐車スペース前方に車両の頭を出してから切り返します。
本件の場合、それを後方で停止して待っていたらバックしてきた車にぶつけられたということになります。
普通、バックする時には一回きちんと停止しますが、本件では停止時間はほとんどなくて、ハザードなども付けずにすぐさまバックしてきたので避ける暇などもなかったとのことでした。

過失割合について

先生の見解はいかがですか?

交通事故における過失割合は別冊判例タイムズという本の解説が参照されます。
これは、裁判所の交通事故を専門に扱う部の裁判官が書いたものですので非常に権威があります。
これによると本件事故の過失割合は原則として当方:相手方=8:2になります。

止まっていた方がぶつけた方より過失があるとされる理由

ちょっと待ってください!私は停止していたのに私の方が悪いんですか?

解説すると、駐車場というのはあくまでも駐車するための場所なので駐車状態にある車が優先となります。
別冊判例タイムズの過失割合はこのような考えが基礎にあります。

しかし、これはもう一方の車にとって、駐車状態に入ったことが認識できていることが前提になります。

本件では駐車しようとした車が前進からバックに切り替える際、後方確認をせずに直ちに進行方向を切り替えていますのであなたからすれば駐車行為(バックしてきた行為)は予見できず、過失はないという考えもありうるかもしれません。

別冊判例タイムズの基準適用の前提を欠く場合の考え方

そういう場合は過失割合についてどう考えるのですか?

別冊判例タイムズには基準適用の前提を欠く場合には個別具体的に検討するように記載があります。

そこで、裁判例を調べてみると、駐車場の形状から直ちにバックしてくることが予見できない(そのまま前方に進むことも十分にありえた)とか、駐車しようとする車がハザードを点灯させたか、実際にバックするまでの時間的間隔はどうだったか、後方車との車間距離はどうだったか、後方車がクラクションや後退で回避できたか、後方車の停止時間(僅か数秒の停止では停止と評価されない可能性も)などを考慮要素に挙げています。

調べたところだと過失割合が当方:相手方=2〜4:8〜6のものがありました。

あくまでも駐車車両優先という原則がある以上、当方無過失の0:10にはなりにくいのだろうと思います。

なるほど。駐車場では駐車車両優先というのは肝に銘じておきます。

以上


交通事故についてのご依頼は当ホームページのLINE又はお問い合わせフォーム等からお願いいたします。

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