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別居後離婚前に不貞するリスク

今回のテーマは『別居後離婚前に不貞するリスク』です。

離婚する場合はまず別居することが多いのですが、別居後に別の女性と交際してもいいのですか?という質問をよくされます。

先日出席した弁護士の勉強会でも話題になったテーマなので気になって改めて調べてみました。

結論から言えばリスクが大きいのでやめた方がいいのではないか、ということになりますが、以下で詳しく解説しましたのでぜひご覧ください。


事例の概要と結論

先生! 妻と離婚したいので別居することにしましたが実は付き合っている彼女がいます。
まだ自宅には呼んでいないのですが、大っぴらに交際した場合に「不貞行為」と言われないでしょうか?

結論から言うと、婚姻関係破綻後に配偶者以外の女性と性行為をしても「不貞」には当たりません。しかし、別居しただけで直ちに婚姻関係の破綻が認められるかというとそうではないと言う点がリスク①です。
仮に婚姻関係破綻以前に性行為=不貞行為をしたと認定されると離婚訴訟において「有責配偶者」ということになってしまいますが、これがリスク②です。

有責配偶者とは

離婚は両者の合意があればいつでもできますが片方が嫌だと言う場合、民法770条に記載された離婚事由を離婚の裁判で認めてもらわなければ離婚できません。

普通は何もなくても3年程度別居していれば離婚事由が認められますが、不貞によって自ら婚姻関係を破綻させた者が離婚を請求した場合にこれを簡単に認めると、不貞された方からしたら踏んだり蹴ったりなのでそうした「有責配偶者」からの離婚請求された場合には離婚事由をより重くして簡単には離婚を認めないこととしています。

(本稿のメインテーマではないため詳しくは有責配偶者からの離婚請求とご検索ください。)

婚姻関係破綻時期について財産分与との整合性

あれ?財産分与の説明で、別居時に婚姻関係が破綻しているから結婚時から別居時までの夫婦共同の財産を分与するのが財産分与という制度だって説明していませんでしたか?

婚姻関係がいつ破綻したかを外部から認定するのは極めて困難と裁判官の執筆した書籍にも書いてあるようにこの点を実質的に決めようとしたら離婚事件があまりに長期化するので財産分与の場面では基本的にそう考えているということだと思います。
論点ごとに個別に考えるということだと思います。

具体的に何をどこまでしておけば夫婦関係の破綻が認められるのか?

とはいえ、要するに不貞行為をした時点で夫婦関係が破綻していればいいんですよね?
具体的に何をどこまでしておけば夫婦関係の破綻が認められるのですか?

裁判例を分析すると別居というのは大きな分水嶺だと思います。いわゆる家庭内別居や週末のみの同居という事例では他に余程の事情がない限り婚姻関係の破綻は認められないと思います。
さらに強力なアクションとして離婚調停の申立てがあります。例えば役所での児童手当の振込口座の変更も離婚調停の申立書の写しの提出をもって夫婦関係の破綻があるということで認める運用になっています。
とはいえ、別居した上で離婚調停を申し立てていた事例でも夫婦関係の破綻を認めていない裁判例もあるので注意が必要です。

あくまでも事例判断ですし、様々な事情を総合考慮するのですが、別居や離婚調停申立て以上に強力なアクションは想定しづらい以上、離婚成立までは「不貞行為」(性行又はそれに準じる行為)については大きなリスクのある行為だと言えます。

また、裁判所が不貞慰謝料請求訴訟において婚姻関係破綻後の不貞であったという反論の採用にかなり消極的であるという点も頭に入れておく必要があります。

ただし、仮に婚姻関係破綻後の不貞行為であると認定されれば、慰謝料請求は棄却されるので慰謝料を払う必要はありませんし、離婚訴訟においても「有責配偶者」ではないということになりますので何の不利益もないことになります(※私がそのような行為を推奨しているわけではありません)。

以上


不貞についての慰謝料請求の問題についてのご依頼は当ホームページのLINE又はお問い合わせフォーム等からお願いいたします。

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