お電話でのお問い合わせ050-5369-5250

今回のテーマは弁護士らしい文章の書き方です。
我々弁護士は書面を読むとそれが弁護士が書いたものかどうかすぐにわかります。
それは細かいルールや作法があるからなのですが、その辺りを簡単にまとめてみようと思います。
ご自身で何か法律文書を作成する際に参考にしていただければと思いますし、日常で文書を書く際の参考にもなるかなと思います。
目次
先生!ちょっとした法律問題があって自分で書面作成等の手続きをしているのですが、なかなかそれっぽいものができなくて苦労しています。
何かコツがあれば教えてください。
この業界、色々な独自ルールがあるので難しいですよね。
まずは形式面から列挙してみます。
基本的には裁判所の運用に合わせるイメージです。
用紙はA4モノクロ片面印刷が基本になります(これは弁護士間や裁判所への書面送付が主にFAXだからですが、今後は変わっていく可能性があります。)。
フォントはMS明朝体でサイズは12ポイントが好ましいとされています。
また、余白の設定ですが、裁判所書記官はファイリングした際に読めなくならないように左側を35ミリメートル空けるように指導してきますので最低限左の余白は大きめというのが一般的です。
法律文書であれば、日付、作成者、どういった件に関する書類なのかという点について記載が必須だと思いますが抜けているものが散見されます。
また、複数ページに渡る場合はページ番号を記載して契印(けいいん・ちぎりいん)をページをめくったところに押すのが一般的です(弁護士が裁判所に出す書面に関しては1ページ目に職印を押してページ番号をつけることで契印が免除されることになっています)。
同じ書面を複数作成する場合は、割印も1ページ目上部等に押印するのが一般的です(裁判所に出す主張書面では省略するのが一般的)。
契約書であれば収入印紙を貼る必要もあります(弁護士が職務上作成する契約書については収入印紙の貼付が免除されています)。
なるほど。形式的な部分は真似できそうですね。内容的な部分について、私が弁護士の真似をするのは難しそうですができそうな範囲で教えてください。
内容面に関しては民法等の知識の解説になってしまうので、具体的に文章を書く際に気をつけるべき事をご説明しますね。
文章の組み立て方なのですが、①誰が、②誰に対し、③いつ、④何をしたかという順番で書くのが基本です。
これは法曹のバイブルである『改訂新問題研究要件事実』(編集司法研修所)の事実記載例に従った書き方なので判決書もおおむねこのようになっています。
一般の方の文書を読んでいると主語が省略されていたり、日時が省略されていて一義的に解釈できないという問題がよく生じています。
句読点が増えるのと、「いつ」というのが③の位置に来るのが一般の方からすると違和感があるかもしれませんね(①→③→②→④という順で書く人もいます。日本語としてはいずれでも成立しますので神経質にならなくていいのですが、各要素を書き落とさないということが大事です。)。
このブログ(記事)もそうですが、文書を書く際にはまとまりごとに数字を振ります。これをナンバリングと言います。
ナンバリングに関しては公用文書の記載例に従って、第1、1、(1)、ア、(ア)と使い分けていきます。
これについては司法試験で叩き込まれるので実践している弁護士は多いです(もちろん臨機応変に使い分けます)。
これをしっかり書かないと、認否や反論でどこの記載に対する反論なのかが特定しにくくなる結果、書面の応酬が進んでいくと、どんどん書面がぐちゃぐちゃになっていきますので関係者全員にとって重要です。
数字を書く際にはどうやって記載しますか?全角・半角・カンマのあるなしなど色々ありますよね。
数字は半角でカンマ有りで書きます。例えば1,230,050円のような感じです。
一般的には相談者のような記載方法だと思いますが、判決では「123万0050円」というふうに全角でカンマの代わりに単位を漢字で書きます。また、誤読を防ぐために0であっても4桁の数字を書きます。
弁護士でも普通の文書と裁判所の書面で使い分ける人や全て半角などの人もいますが、裁判だと判決直前に弁護士の書面のデータを提供させられて、裁判官はそれをコピペして判決を書きます。
したがって、最初から再変換不要な形で書いておくと喜ばれますし、使い慣れてる分読みやすいかなと思って私は裁判書面は判決方式で書くことが多いです。
上記1の通り、法律文書に日付は絶対に必要なので非常に重要です。
日付の表示形式ですが、裁判官が関与しない書類であれば西暦でも和暦でも構いません。正直言って西暦の方がわかりやすいと思いますが、裁判官の中には西暦を使うと和暦にしろと怒る方がいらっしゃいます。
しかし、時系列が重要な事案では、全て和暦で書くと逆に裁判官が混乱してしまって書面・尋問の説得力が落ちます。
苦肉の策として、時系列が重要な事案では和暦(西暦)という表記にすることがありますが、手間が増えるだけですし、書面も無駄に長くなるので何とかして欲しいところです。
法律文書なので根拠となる法律・判例・学説(文献)の引用は不可欠です。
法律の引用方法ですが、法令名は最初の記載時は省略せずに書いて、長い場合は以下〇〇とすると略称を設定します(略称を用いる場合は定義づけが不可欠です)。
また、該当箇所を正確に引用する必要があるので条文を抜き出すならカギ括弧で引用した上で◯項、◯号、柱書、本文、ただし書などとなるべく詳細に特定して記載します。ただし、不必要に条文自体を主張書面等に長々と引用するのはNGです。
文献を引用する場合、第三者が検証するために最低でも出典を書くのは常識だと思いますが、判例に関しても判決日時だけだと同じ日に複数の判決があって特定できないので、出典(掲載誌か最低でも事件番号)を書きます。
文献・裁判例ともに、メジャーなもの以外はコピーを添付して相手や裁判所に共有することが多いです。
一方で法令については原則としてコピーしたりして相手や裁判所に共有する必要はありません。
上記4とも関係しますが、やたら鉤括弧で強調を加えた文書をたまに見ます。
しかし、鉤括弧は誰かの発言と条文・判例・文献をそのまま引用する場合になるべく限るべきとされています。
コロコロとフォント・文字サイズを変えたり、カラーや下線等を多用するのも弁護士っぽい文書からは外れてきます。
ただし、図や表はそれが必要なものである限り有用なものです。
とりあえずは以上です。一般的な文書の書き方にも通じるところがあると思うのでぜひ参考にしてみて下さい。
以上
本人訴訟支援業務は一切行っておりませんが、ご相談・ご依頼があれば二子玉川駅最寄りのふたこ法律事務所までお問い合わせいただければと思います。