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今回のテーマは交通事故の被害者が無過失であるにもかかわらず、弁護士に交渉を委任しないと損をするケースを紹介します。
実際に私が相手保険会社から提示されたりしたものをまとめてみました。
結論として、過失割合に争いがないから弁護士は不要というのは完全に誤りだと思います。
目次
先生!車を運転していたら追突されちゃったんですよ。怪我もしたんですが、相手運転手も自分の非を認めていて過失割合に争いはなさそうです。
こういうケースで弁護士に依頼するのは大袈裟な気もして依頼を迷っています。
結論から言うと弁護士費用特約があるのであればほぼ全ての事案で弁護士に依頼した方がいいです。例外は怪我をしていなくて物損の賠償提示(修理代や代車代)に不満がない場合くらいでしょうか。
一方で弁護士費用特約がない場合には超高級車に乗っていたとか怪我につき後遺障害認定があるような場合を除いては費用対効果が微妙になる可能性があります。
物損(車の修理代、評価損、レッカー代、代車代、携行品等)について弁護士に依頼しても変わらないと聞いたことがあるのですがぶっちゃけどうなんですか?
もちろんケースバイケースですが以下の通り賠償額が上がる場合が多いです。上がらない場合は弁護士費用特約の担当者から物損は介入しなくていいと連絡がきます。
車も壊れて、怪我もしたという本件のような場合、過失割合に争いがあれば通常は物損の担当者と過失割合を交渉してその割合で怪我についても示談します。
以下これまでの経験で気づいたポイントです。
①ドライブレコーダーがない事案で細かく過失割合を争うのはかなり難しい。
→代替資料として警察の実況見分調書を取り寄せますがそもそも不正確・不十分ですし、刑事処分確定後でないと取得できないのでかなり時間がかかります。
②交渉で当方無過失にする場合、類似の裁判例を示す必要がある。
→例えば相手方9:1当方の裁判例を見つけて、そこから事情を付加して10:0に持っていくというのはなかなか難しいので類似の裁判例で結論まで当方が希望するものが存在する必要があります。
③これまでのブログでもいくつか紹介してきましたが、保険担当者は結構ラフな理論で押し切ろうとしてきますのでしっかりと理屈をもって交渉すれば裁判までやらなくても過失割合は結構変わります。
本件は追突で争いがないので過失割合は問題になりません。
修理代はアジャスターという有資格者が修理工場と協定を結んだ金額になりますが、そもそもそれを知らないでいつまでも修理入庫しないと修理代の相当性が争われます。
また、実際に修理しない場合も上記協定が締結できないので修理代の相当性が問題になります。
よくあるのが経済的全損という理屈で、修理代の上限は車両時価額までという判例法理があるので、(まだまだ乗れる)古い車に乗っていた場合に修理に全然足りない賠償額を提示されることがあります。
この場合は弁護士が車両時価額を争いますが、反論の理屈を知らないまま保険会社の言い値で示談している人は多そうです。
評価損は事故による修理歴などで市場価格が低下したことへの賠償ですが、保険会社は交渉では絶対に自分から提示してこない損害です。また、実際に請求してもなかなか認めたがらないです。
相場としては高級外車で登録初年度から5年、高級国産車で3年までで、修理代の10%〜30%程度が多いです。
修復歴(フレームへの損傷で記録として残るもの)が必要であるのが原則です。
相手保険会社が手配せず当方で独自にレンタカーなどを手配して借りていると問題になります。
代車の車両価格は最大でも事故車両と同程度、使用期間は修理で2週間・買い替えで1ヶ月が最大です。
あまりに長期間借りなければいけない場合、相手保険会社との事前交渉をしますが、そもそも交渉に応じてくれない場合が多いです。
リスクヘッジとしてカーシェアなどを利用して代車はなるべくピンポイントで借りるなどの対応があります。
保険会社は独自の基準で減価償却計算(例:3年で償却である物品が丸2年目に事故で壊れた場合には購入価格の3分の1のみを賠償)をして提示してきますが、そもそも計算が間違っていたりすることもありますし、償却年数も争いうるものがあります。
とはいえかなり細かい金額の話になる一方で、争う場合に必要な証拠収集が大変なのでどこまでやるかという感じです。
物損でも結構やってもらうことがあるんですね!事案によっては金額も大きく変わりそうです。
物損について長くなりましたが、怪我の場合はひどければ弁護士に依頼するのが普通だと思いますので人身損害は簡単に説明します。
これは有名な話ですが、弁護士が代理しないと保険会社は自賠責基準に近い独自基準を提示してくるので金額が倍以上変わることもあります。
実際にやってみて思ったのですが、独自の計算式をしつこく提示してくる保険会社の担当者が割といます。
(例:基礎収入算出にあたって事故前3ヶ月の収入を休日含む全期間で割った上で休業日を掛けるなど。継続的な完全休業の場合以外は休日は含まない期間で割るのが一般的。)
さらにそこから謎の減額提示(ざっくり80%など)をしてくることもあります。
計算方法が唯一絶対ではないので保険会社としても強硬に争ってくるポイントです。
休業損害と似ていますが後遺障害認定をされた場合に将来の年収が下がる部分の賠償です。
金額が非常に大きくなるので同じように強硬に争ってくるポイントです。
人身損害に関しては弁護士の介入にかかわらず全ての論点が争いになる可能性がありますが、弁護士が介入しない場合、上記3つはほぼ確実に渋い提示になると思います。
よくある悲惨なパターンとして、以下のような例が挙げられます。
①物損につき経済的全損を主張されたので当方無過失なのに修理代が足りない。
時価額評価も謎基準なので買い替える費用にも足りない。
②代車代がなぜか一部自己負担。
③携行品については微々たる賠償額なので買い替えはほぼ自己負担。
④通院慰謝料がほぼ自賠責基準。
⑤休業損害も上記の通り割引。
よく見かけるのは経済的全損絡みですね。市場価格の算出基準も不明確で、酷い事案だと理由をつけずに新車購入価格の10%などと提案されたものもあります。
弁護士費用特約は利用しても保険料に影響がないので使ったほうが得ですね。
事故についてこちらに落ち度はないのにしっかり対応しないと損をするというのは腹立たしいですね。
以上。
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