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【最新】子の連れ去り別居についての民法改正の影響

離婚

今回のテーマは令和6年の民法・家族法改正によって、配偶者と別居する際に子を連れて行くことの事の可否・手続きにどのような影響があるかです。

センシティブなテーマですので、私自身の考えではなく、立法担当者の説明をベースにした中立的な解説記事となります。
実際よく問題になりますしよく聞かれるのですが、法務省の説明が玉虫色で非常にわかりにくいものになっています。結論としては改正前と大きく変わらないということが繰り返し強調されている印象でした。


1 事案の概要

先生!夫が私にモラハラをするので離婚前提で別居しようと思います。子が3歳で小さく、これまでの育児はほぼ全てこちらがやっていたので子を連れて行こうと思いますが勝手に別居して大丈夫ですか?

立法担当者の解説ベースだと微妙なケースになりますので順番に解説していきます。

2 無断で子の居所を変更することが許される場合

親権者には子の居所指定権が認められ(民法822条)、父母間においては相互に人格尊重・協力義務があります(民法817条の12第2項)。
ただし、DVや児童虐待があり、避難が必要な場合には無断で子を転居させてもこの義務に違反するものではないとされています(法務省Q&A参照)。

したがって、無断での子連れ別居が許されるかは、まずDVや児童虐待があるかを検討することになります。

3 本件で違法かどうか

私の事案ではモラハラはありますが、DVや虐待まではないです。そうすると、DVや虐待がないケースでは無断での別居は常に違法になるのですか?

この点、法務省がQ&Aを公開しています(クリックでリンク)。

「この判断において考慮されるべき事情としては、当該行為の動機や経緯、別居前後の協議の有無や内容、子の年齢や子の意向のほか、従前の父母と子との関係や父と母との関係など、様々な事情が考えられる。」

すなわち、総合考慮なので直ちに違法にはなりませんということです。
ここが1つ目のはっきりしないのでモヤモヤするポイントです。

4 仮に違法になった場合にどうなる?

仮に違法だと判断されたらどういう効果が生じますか?

直ちに何らかの効果が生じるものではないとされています。
ここが2つめのはっきりしないのでモヤモヤするポイントです。

法務省の解説としては、親権者の指定や監護者(≒離婚までの暫定的な親権行使者)の指定で違反の内容が考慮される「可能性がある」とされています。
ただし、親権者の判断枠組みについては以前当事務所のブログ(クリックでリンク)で解説したように、判断枠組みが別途ありますので、原則としては無断で子を連れて別居した事情だけで、親権者をどちらにするかの判断に直結するほどの事情にはならないと思います。
(立法担当者の解説でも旧法と大きく変わらないということでした。)

なお、法務省のQ&Aにおいては親権侵害に対する程度によっては損害賠償義務が生じることもあると書かれていますが、この点につき法改正によって解釈変更があるというわけではなく、従前通りということでしたので、実際に損害賠償が認められる事案は極めて限定的になると思います。
ただし、可能性がゼロではないという意味で3つめのはっきりしないモヤモヤするポイントです。

5 第三の選択肢

別居について特段焦っていませんし、なにか他にやり方はありますか?

当事者間で協議して同意に基づき別居するのが原則です。ただ、モラハラ事案ということで話し合いが難しいこともあるでしょう。
その場合には同居中に監護者指定の調停か、親権行使者指定の調停を申し立てて自分が子を連れて別居することにつき裁判所で協議することが望ましいとされていますが、実際には難しいこともあるのでどのように進めるかはっきりせずモヤモヤする4つめのポイントになります。

ザックリかみ砕くと、包括的に決めてもらうのが監護者指定の調停で、子の居所など特定事項に絞るのが親権行使者指定の調停です(後者は今回の法改正で新設)。
同居中に申し立てるのが望ましいとのことですが、比較的重度のモラハラ事案だったりすると別居後すみやかに申し立てる方法も視野に入ります。
※上記3の違法性の判断においてもこれらの調停を申し立てたかどうかは考慮事由になるとされています。

全ての事案で監護者指定の調停等を申し立てないといけないとすると手続きが重すぎますし、弁護士費用の負担も大きくなるので事案に応じた柔軟な判断の余地を残すべきということであえて不明瞭な形にしたのかなと思いました。

なるほど。とりあえずもう一回話し合ってみます。


以上

離婚については二子玉川のふたこ法律事務所までお問い合わせいただければと思います。

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