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今回のテーマは交通事故の後遺障害診断書の書き方です。
後遺障害認定を取りやすいように診断書を記載して欲しいと思うのが人情ですが、そんな小手先の技術だけで後遺障害が認定されるほど甘くはありませんし、実際そうなったら公平という観点から問題があります。
ただし、お医者さんも慣れていないことが多いので後で訂正になるようなものが出てくることもあるので形式的な注意点と私が担当したいくつかの認定例を参考に後遺障害認定されやすい傾向の診断書とはどのようなものかを分析していきます。
目次
先生!依頼していた交通事故の件ですが、そろそろ治療が終了するので後遺障害診断書を主治医に書いてもらおうと思います。
何か気をつけることはありますか?
後遺障害診断書の書式は普通は病院には置いていないので自分で印刷して持参する必要があります。書式は自賠責保険の共通のものになりますので病院独自のものではダメです。
まずは書式を見ながら形式的な注意点を説明しましょう。
※アップロードの関係でJPGなので実際に使う場合は他のサイトからPDFをダウンロードしてA3で印刷してご利用ください。
1 印刷方法
上記にも書きましたが印刷はA3で片面印刷です。法律の文書は複数ページにわたる場合には契印や割印などが必要になりますが普通の医者はそこまでやってくれないのでA3で1頁で出したほうがいいです。
2 作成してもらうタイミング
診断書の作成依頼は早めにしたほうがいいですが、実際に作成してもらうのは治療終了後(症状固定後)になります。
治療終了前に作成したので通院期間の終期が空欄になっているものがありました。
3 治療費立替払いの打ち切りと診断書作成依頼時期の関係
以下のパターンがありえます。
①打ち切り前に作成してもらう。
②打ち切りには同意しつつ自費で通院して参考資料として自費で通院した証拠(領収書・診療明細書)を出す。
③打ち切りを争って自費で通院して自分の納得するところで後遺障害診断書を作成してもらってそれまでの治療費を請求することも狙う。
①だとその後の後遺障害認定申請を相手保険会社に依頼できますが、②③だと自分で被害者請求をやらないといけないという違いがあります。
4 自覚症状欄(診断書の左上)
記載したもののみが後遺障害認定の対象です。ここの記載があっさりしていたり、大したことないですというニュアンスが出てしまう書き方だと厳しいです。
あとはムチウチ等の神経症状の場合、常時痛む・痺れるなどの自覚症状が必要なので雨の日は痛むなどという記載だと厳しいです。
5 他覚症状および検査結果の欄(診断書の左下)
ムチウチの場合、アッサリと他覚症状なしなどと記載されてしまうこともありますがそれだと厳しいです。
画像の所見と各種検査結果をなるべく詳細に書いてもらうのが望ましいです。
6 憎悪・寛解の見通しの欄(診断書の右下)
改善の見込みがあると書かれると後遺障害の定義(改善が見込めないもの)と矛盾します。
主治医とはしっかりコミュニケーションをとって日頃から信頼関係を作っておくことが大事ですね。
内容面ではどういうものが良いのですか?
そもそも、後遺障害診断書の書き振りで後遺障害認定にそこまで決定的な影響を与えることは難しいと思っています。
強いて言えば医者とコミュニケーション不足だったり信頼関係が築けていなかったりだとそれが診断書の書き振りに現れてしまうので気をつけてください。
1 事実を正確に伝える
事実を正確に伝えることで的確な検査や治療が行われ、それが後遺障害診断書の記載や認定につながっていきます。
2 信頼関係を築く
モラルハザード事案などと呼ばれますが、不当に損害を大きくして過剰な請求をしようとする者を医者は嫌います。
また、職務に対する(良い意味での)プライドもあると思うので具体的な記載に細かく注文をつけるのは信頼関係を損ねかねません。
どうしても相性が悪ければ早いタイミングで転院しましょう。例えば主治医に絶対に後遺障害診断書を書かないと言われてしまうと認定申請自体できなくなりかねません。
3 強いてポイントを上げるとすれば
沢山ある後遺障害ごとにポイントは異なりますし、医学的な問題でもあるのですが、総論的なポイントとしては上記でも触れたとおり、自覚症状や他覚症状・検査結果の欄は詳細に書いてもらったほうが良いです。
なるほど。記載内容に直接関与できないのでそれまでの過程が大事なんですね。
後遺障害認定を獲得するにあたって、後遺障害診断書は1つの要素でしかないことをまずは意識してください。
事故の態様・怪我の態様・通院状況・治療内容などを総合的に判断して後遺障害認定はなされます。
とはいえ非常に重要な資料ではあるので最低限形式面は気をつけましょうというのが本稿のまとめです。
実際問題訂正してくださいとお願いしても明らかな誤記以外は難しいことが多いでしょうし、別の医者に書いてもらうことも普通はできませんから自分でコントロールできる部分は多くないんですね。
交通事故のご依頼はぜひ当事務所までお願いいたします。
ムチウチについての後遺障害等級の認定のポイントについてもそもうちまとめたいと思います。
以上