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婚姻費用を支払わないとどうなるかという裁判例ですが、他にも興味深い点があるのでご紹介させていただきます。
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妻である被告との離婚を実現させるために婚姻費用の支払いをすることなく兵糧攻めともいうべき振る舞いを続けた原告が有責配偶者に当たるとして、原告の離婚請求を棄却した事例(判例時報2025年7月1日号掲載)。
原告である夫が別居し4年半が経過しているため、裁判所は婚姻関係の破綻を認めています。
なお、よく別居3年で離婚が認められると言われますが、本判決の評釈においては「片岡顕一「離婚訴訟の審理モデル感」・・・によれば、別居期間が2年半を超えた事案で婚姻関係の破綻を認めなかったものは見当たらなかったとのことである」と紹介されています。
その上で平成31年2月より判決に至るまで婚姻費用の支払いを一切せず、自分名義の住居に妻子が居住していることについて家賃を支払えと訴訟提起したなどの事情をもって有責配偶者からの離婚請求であると認定しています(家賃の請求に関しては賃貸借契約が存在しないとして請求棄却で確定)。
有責配偶者からの離婚請求というのは、離婚を拒否する側からの反論(抗弁)で、一般的には不貞やDVの事案でそのような有責行為をした側からの離婚を容易に認めるのは信義則に反するという理屈で離婚を認めないものです。
賃料請求の訴訟までしている点がかなり特殊なので一般化しにくいとは思いますが、婚姻費用を支払わないことで有責性を認めたというのは参考になる判断だと思います。
以上